指導要録の書き方が知りたい!
担任の先生が、年度末にやる仕事といえば「指導要録づくり」です。
しかし、指導要録はふだん目にする書類ではないので「指導要録ってどんなもの?」と思っている先生が多いのではないでしょうか?
- そもそも、指導要録って何?
- 指導要録は、何のために作るの?
- 指導要録は、どんなときに使うの?
- 指導要録には、どんなことを書くの?
今回は「小学校・中学校の指導要録の書き方」について、中学校教員時代に4回指導要録を作ったわたしが解説します!
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目次
指導要録の書き方の前に…指導要録とは?
指導要録について、文部科学省のホームページではこのように解説しています。
指導要録は,児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し,その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿である(文部科学省通知)。
指導要録については,校長が作成するとともに,学校において備えなければならない。
また,児童生徒が進学したり転学したりする際,進学や転学元の学校は,進学や転学先の学校へ,写しや抄本を送付することとなっている。
引用:学校教育法等における指導要録に関する考え方(文部科学省ホームページ)
つまり「指導要録」について簡単にまとめると、以下のとおりです。
- 児童生徒の「学籍」や「勉強の様子」を記録したもの
- 学校で保管しておくもの
- 児童生徒が進学したり転学したりするときに、写しや抄本を相手先の学校に送る書類である
【よくある質問1】指導要録と指導要領の違いは何?
小学校向けの教材を開発・販売している光文書院のホームページでは、「指導要領」と「指導要録」の違いについて、次のように解説しています。
学習指導要領が学習指導の指針であるように,指導要録は評価活動の指針とされてきた。
引用:教育用語集(光文書院ホームページ)
「指導要録」と「指導要領」は言葉は似ていますが、まったく別のものです。
【よくある質問2】指導要録の様式ってどんなもの?
「指導要録の様式を見てみたい」という方は、文部科学省がまとめている指導要録(参考様式)をご覧ください。
指導要録は、校種に応じて10種類の様式があります。
- 小学校
- 中学校
- 高等学校(全日制・定時制)
- 高等学校(通信制)
- 特別支援学校小学部 (視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校)
- 特別支援学校中学部(視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校)
- 特別支援学校高等部(視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校)
- 特別支援学校小学部(知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校)
- 特別支援学校中学部(知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校)
- 特別支援学校高等部(知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校)
指導要録の書き方をいよいよ伝授!小学校の指導要録に書く項目は、全部で24個
それでは、指導要録の書き方を学んでいきましょう。
最初に、小学校の指導要録の書き方を解説していきます。
【指導要録の様式1】「小学校の学籍に関する記録」は、11項目を書く
指導要録は、
- 学籍に関する記録
- 指導に関する記録
という2つの内容に分かれています。
はじめに、「小学校の学籍に関する記録」を書くときのポイントについて解説していきます。
- 児童
- 保護者
- 入学前の履歴
- 学校名および所在地
- 校長氏名印
- 学級担任者氏名印
- 入学・編入学
- 転入学
- 転学・退学等
- 卒業
- 進学先
1) 児童
児童の氏名、性別、生年月日、現住所を書きます。
2) 保護者
児童の親権者の名前を書きます。親権者がいないときは、後見人の名前を書きます。
保護者の住所が児童と同じときは「児童の欄に同じ」と書きます。
3) 入学前の履歴
幼稚園、保育所、こども園の名前と、在籍していた期間を書きます。
外国で暮らしていた場合は、そのときに受けた教育についても記入します。
4) 学校名および所在地
在籍している小学校名・住所・電話番号を書きます。
5) 校長氏名印
年度はじめに校長の名前を記入し、年度末に押印します。
6) 学級担任者氏名印
年度はじめに担任の名前を記入し、年度末に押印します。
7) 入学・編入学
入学については、1年生に入学した年月日を記入します。この年月日は、入学通知書に書かれた日を記入します。
編入学とは、外国の学校から転校してきたり、就学義務の猶予・免除がなくなって就学義務が発生したりする場合のことです。編入学の年月日と、その理由を書きます。
8) 転入学
他の小学校から転校してきた児童の場合、記入します。
- 転入年月日
- 転入学年
- 前に在籍していた学校名・所在地
- 転入の理由
を書きます。
9) 転学・退学等
他の小学校に転校するときに記入します。
- 転校先の学校が受け入れた日の前日の年月日
- 転校先の学校名・所在地
- 転入学年
- 学校を去った年月日
を書きます。
10) 卒業
卒業が認定された日を記入します。
11) 進学先
進学先の学校名・所在地を記入します。
【指導要録の様式2】「小学校の指導に関する記録」の表面は、5項目を書く
12) 各教科の学習の記録
観点別学習状況(いわゆるABC)と、評定(いわゆる12345)を記入します。
通知表に書いたものを、そのまま打ち込むだけです。
13) 特別の教科 道徳
児童の学習状況について、文章で評価します。
他の児童と比べて評価するのではなく、児童ひとりだけを見て、道徳性が成長したかどうかを評価します。
道徳に関する評価については、「学習指導要領の一部改正に伴う小学校,中学校及び特別支援学校小学部・中学部における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」という文書が文部科学省から出されています。
14) 外国語活動の記録
外国語活動の学習を通して身についたことについて、簡潔に書きます。
外国語活動の記述の注意点については、文部科学省の「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」にくわしく書いてあります。
15) 総合的な学習の時間の記録
総合的な学習の時間を通して身についたことについて、簡潔に書きます。
16) 特別活動の記録
学級活動・児童会活動・クラブ活動・学校行事について、特に評価できる状況にあるときに〇印を記入します。
- 特別の教科 道徳
- 外国語活動の記録
- 総合的な学習の時間の記録
- 特別活動の記録の文章
の文章については、連絡票の所見に書いたことを短くまとめます。
【指導要録の様式2】「小学校の指導に関する記録」の裏面は、8項目を書く
17) 行動の記録
学校生活全体をとおして、特に評価できる状況にあるときに、〇印を記入します。
18) 総合所見及び指導上参考となる諸事項
総合所見及び指導上参考となる諸事項で書くことは、次の5つです。
①各教科や外国語活動,総合的な学習の時間の学習に関する所見
引用:〔別紙1〕小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等
②特別活動に関する事実及び所見
③行動に関する所見
④児童の特徴・特技,学校内外におけるボランティア活動など社会奉仕体験活動,表彰を受けた行為や活動,学力について標準化された検査の結果等指導上参考となる諸事項
⑤児童の成長の状況にかかわる総合的な所見
ちなみに、総合所見及び指導上参考となる諸事項を書くときには、次のことに注意してください。
- 箇条書き等により、端的に記述すること。
- 児童の良いところ・成長したことを書くこと。
- ただし児童のマイナスな点について、今後べつの先生が指導に当たるときに配慮した方が良いことがあれば、記入する。
総合所見及び指導上参考となる諸事項について詳しく知りたい場合は、小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)という文書をかならず読んでください。
教師の勤務負担軽減の観点から,
【1】「総合所見及び指導上参考となる諸事項」については,要点を箇条書きとするなど,その記載事項を必要最小限にとどめるとともに,
【2】通級による指導を受けている児童生徒について,個別の指導計画を作成しており,通級による指導に関して記載すべき事項が当該指導計画に記載されている場合には,その写しを指導要録の様式に添付することをもって指導要録への記入に替えることも可能とする
など,その記述の簡素化を図ることとしたこと。
小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)
19) 授業日数
1年間で授業をした日数を書きます。
20) 出席停止・忌引等の日数
感染症などで出席停止になったり、忌引で欠席した日数を書きます。
21) 出席しなければならない日数
授業日数から、出席停止と忌引の日数を引いた日数のことです。
22) 欠席日数
病気や事故などで学校を休んだ日数を書きます。
23) 出席日数
出席しなければならない日数から、欠席日数を引いた日数を書きます。
24) 備考
- 出席停止や、忌引に関する説明
- 欠席の理由
を書きます。
中学校の指導要録の書き方は、小学校と同じ!ただし、小中で違うところが5つある
中学校の指導要録の書き方は、小学校の指導要録の書き方と同じです。
しかし小学校と中学校では、子どもの呼び方や教科名などで少し違うところがあります。
小学校指導要録と、中学校指導要録で違うところを5つ紹介します。
- 子どもの呼び名が、小学生は「児童」だが、中学生は「生徒」になる
- 小学校は1~6年生まであるが、中学校は1~3年生まで
- 小学校指導要録では「進学先」という欄が、中学校指導要録では「進学先・就職先」となる
- 教科数が変わる(小学校は10教科、中学校は9教科)
- 小学校指導要録には「外国語活動の記録」の欄があるが、中学校指導要録にはない
指導要録の書き方がよりわかる本
ここでは、指導要録を書くときに参考になる本を紹介します。
小学校の先生向けの本
1) 新指導要録の解説と実務 小学校 指導要録
2)新指導要録の記入例と用語例 小学校
中学校の先生向けの本
3)新指導要録の解説と実務 中学校
4)生徒指導要録作成の手引き&所見文例1140
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5)新指導要録の記入例と用語例 中学校
特別支援学校の先生向けの本
特別支援教育における3観点の「学習評価」【各教科・段階別】通知表の文例集と記入例
指導要録の書き方は、コツを押さえれば簡単!
わたしは中学校の教員時代、指導要録を4回作りました。
その経験から思うことは、「指導要録は、時間をかけてやる仕事じゃない」 ということです。
ツイッター上に、こんなやりとりがありました。
学校には指導要録という児童生徒の情報(通知表にちかい)の記録があるんですが、いまだ手書きというところもあるんですね!?校務支援システム未導入の地域はそうなのかな?負担感高いわけだ。まだ調べ途中ですが、ずいぶん前に文科省は電子的記録でOKと言っていますが。https://t.co/n7pszu2fNN
— 妹尾昌俊(一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、教育研究家) (@senoo8masatoshi) June 8, 2018
毎年ぼやいていますが、本当に手書きです。パソコンで生徒ごとの文章を作って、書き写して、誤記訂正して、、、無駄の極み。
— 自分を見つめる(婚活はじめました) (@jibunwomitumeru) June 8, 2018
うちの自治体は電子化されていますが、そもそも指導要録に存在意義をまったく見いだせないので、使われないものに時間を割かなければならないという意味で、負担感は大きいです。
— まるこめ先生 (@ju_shoku) June 8, 2018
教育書「全部やろうはバカやろう」で有名なさる先生は、指導要録について次のようにツイートしています。
僕の勤務校は今年度からようやく電子化されました。
— さる@小学校教師|Y.SAKAMOTO (@saruesteacher) June 9, 2018
次年度の準備という、最も重要なミッションをすべき時期に、誰も見ない要録に時間を投下しなければならないことは大きな問題です。
学校の先生はまじめですから「指導要録作りを極めなくては…。書類はきれいに、美しく作らねば…!」と思う人もいるでしょう(わたしがそうでした)。
しかし、指導要録作りに、そこまで気力と時間を注ぎ込む必要はありません。
指導要録に関わる文部科学省からの情報まとめ
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」
各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨(小学校及び特別支援学校小学部並びに中学校及び特別支援学校中学部)
各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨(小学校及び特別支援学校小学部並びに中学校及び特別支援学校中学部)
各教科等の評価の観点及びその趣旨(高等学校及び特別支援学校高等部)
指導要録の文例が知りたい方へ
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