学級崩壊を立て直すには、何をすればいいの?
学級崩壊は、先生の仕事のなかでも、ツライ問題の1つです。
わたしは、学級崩壊しているクラスの担任になったことがあります。
その学級を受け持っているときに、いろいろなことが重なってメンタルを病み、結局は退職しました。
その学級から離れた後も、数年は思い出すだけで腹が立ったり、悔しい思いがこみ上げてきて苦しみました。
そしてそのときから5年以上経った今、やっと冷静に当時のことを振り返れるようになりました。
そこで今回は元中学校教員のわたしが、学級崩壊クラスを担任した経験をもとに
- 学級崩壊の定義
- 学級崩壊したクラスの様子
- 学級崩壊を立て直すためにしたこと
- 学級崩壊を立て直すために読んだ本
について解説します。
目次
学級崩壊の定義
文部科学省は、学級崩壊ではなく「学級がうまく機能しない状況」という言葉で、いわゆる学級崩壊についての調査研究を発表しています。
文部科学省が発表している「学級経営の充実に関する調査研究」(中間まとめ)の概要~ (平成11年9月) によると、
「学級がうまく機能しない状況」とは、
「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、
授業が成立しないなど、
集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し、
学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」
を指しています。
「学級経営の充実に関する調査研究」(中間まとめ)の概要~ (平成11年9月) : 文部科学省
これら(注:学級がうまく機能しない状況)は、ある一つの「原因」によって「結果」が生まれるかのような単純な対応関係ではなく、複合的な要因が積み重なって起こります。
問題解決のための特効薬はなく、複合している諸要因に一つ一つ丁寧に対処していかなければならないものと考えています。
「学級経営の充実に関する調査研究」(中間まとめ)の概要~ (平成11年9月) : 文部科学省
わたしが受け持っていた「学級崩壊したクラス」の7つの特徴
わたしが担任した学年は、小学校高学年のときに、学級崩壊を経験していました。
中学校に入学しても、学級崩壊状態は続いていました。
そのときの学級の様子について、紹介します。
①教室が汚い
- プリントが落ちている
- ペンや消しゴムが落ちている
- 机がまっすぐ並んでいない
- 椅子が机にしまわれていない
- 机の上に落書きがある
②静かに先生の話を聞けない
- 静かにしなさいと言われないと静かにならない
- 静かになるまで時間がかかる
- 先生が説明をしている途中でも、話をさえぎって質問する
- 先生が話をしていても、まわりの子と関係のない話をする
朝の会や授業中に徹底させたルールは、つぎの3つです。
- 最後まで先生の話を聞く
- 質問があったら、手をあげる
- 先生に指名されてから話す
③班活動がうまく機能しない
- 給食準備に時間がかかる
- 掃除の仕事分担ができない
- 学活などで班で話し合いができない
荒れているクラスは
— みなじょぼ🌸SNSから教育を支える (@mina_jovo) January 18, 2019
給食準備と掃除ができない
なぜならどちらも
●自分の仕事に責任をもつこと
●同じ係の人と協力すること
が必要だから
まずは
自分の仕事をきちんとやらせることからスタート
赤ちゃんの遊びだって
最初は同じ遊びを別々にやり
その後関わり合って遊べるようになる
それと同じ
④小集団が乱立していて、学級としてのまとまりがない
- 1クラスに男子グループが3つ、女子グループが3つできていた。
- グループごとの交流はほとんどなかった。
⑤挨拶ができない
- 朝の会・帰りの会・授業の最初と最後の挨拶の声がちいさい。
- 朝に教室で会ったときや、廊下で会ったときに挨拶をしない。
⑥授業中の立ち歩き
- 先生の指示なく、勝手に立ち歩く。
- 先生に断りなく、ロッカーに物を取りに行く
- 友達をからかう
- 友達のペンケースからものを取る
- 特に理由もなく立ち歩く
⑦勉強ができない
- 学力が低い生徒が多い。
- 掛け算、繰り上がりのある足し算ができない。
- 漢字が書けない。教科書をすらすらと読むことができない。
- 音楽や映像など視覚聴覚教材の食いつきは良かった。
学級崩壊を立て直すために私がやったこと
わたしが学級崩壊しているクラスの担任をしていた時に、気をつけていたことを紹介します。
①教室をきれいに保つ
- 床に落ちているプリントや文房具をひろう。
- 床にゴミが目立っていたら、気付いた時にモップで掃除する。
- 掲示物の乱れを見逃さない。
- ロッカーから荷物がはみでていたら、きれいにさせる。
- 教室の備品の置き場所を決める。
教室の床に落ちている
— みなじょぼ🌸SNSから教育を支える (@mina_jovo) January 18, 2019
自分が印刷したプリントを拾うのは虚しい
教室掃除が終わった後に
もう一度モップがけしている自分がみじめ
黒板掃除したのに
まだ汚れているから
黒板消しで何度も往復する
何で私が?と思いながら
でも
明日こそはと信じて教室を整える
彼らのために
自分のために
②できている生徒に意識的に目を向け、認める
- 静かに話を聞こうとしている生徒
- 問題を解く生徒
- やるべきことを当たり前にやっている生徒
に気づき、ほめ、認めるようにしていました。
「静かにしてください」と教室全体に呼びかけているときに、まっすぐあなたに視線と意識を向けている生徒がいるはずです。
「あなたが静かに話を聞こうとしていることを、先生はわかっているよ」という気持ちを、目を合わせて(言葉で)伝えてください。
③授業改善
- 授業を楽しい時間にする。
- 今までの自分の授業スタイルを捨てて、目の前にいる生徒に合った方法で授業をする。
- TTをつけてもらう。
■授業が上達する10の方法
— みなじょぼ🌸SNSから教育を支える (@mina_jovo) January 17, 2019
1.教科書を読む
2.指導書を読む
3.簡単でいいから授業の流れを紙に書く
4.声に出して練習する
5.授業を録音して聴いてみる
6.他の人の授業を沢山見る
7.授業を見てもらう
8.同僚や本、ネット上の実践を真似する
9.数をこなす
10.失敗をひきずらない#新任1年目を生き抜く
④自分以外の先生に入ってもらう
学級に自分以外の先生が入る=自分の指導力がないと思わないでください。
学級崩壊しているクラスに、一人で立ち向かうのは精神的にも肉体的にも大変です。
私は、自分は全体に指示をして、入ってくれた先生に問題のある生徒を任せるというように、分業していました
⑤崩壊したら、戦わず、凌げ
- 自分がこのクラスを立て直すんだ
- 学級とはこうあるべきだ
- 友達とは仲良くすべきだ
などと気合を入れすぎると、自分がツラくなります。
「策略 ブラック学級作り」という本には、筆者である中村さんの学級崩壊の経験について書かれています。
学級崩壊を立て直すために読んだ本
ここでは、私が実際に学級崩壊で悩んでいるときに読んで、参考になった本を紹介します。
①学級崩壊に学ぶ 崩壊のメカニズムを絶つ教師の知識と技術
楽しい学校生活を送るためのアンケート:Q–Uを作った、心理学者・河村茂雄さんの著書です。
1999年出版の本ですが、内容はいまの学校現場にも通じます。
- 学級崩壊のパターンの解説
- グループ理論
- リーダーシップ理論
- 学級崩壊から回復するプロセス
について、心理学と社会心理学をもとに、丁寧に書かれています。
\「学級崩壊に学ぶ」について 詳しく書いています/
②学級崩壊 予防・回復マニュアル 全体計画から1時間の進め方まで
こちらも河村茂雄さんの本です。
「学級崩壊に学ぶ」が理論編だとしたら「学級崩壊 予防・回復マニュアル」は実践編です。
- トラブルの解決法
- 甘えてくる子への対処法
- 学級の雰囲気をやわらげるゲームの進め方
- 学級生活の振り返り方
などを、イラストを交えて解説しています。
1ページに1事例がまとまっているので、忙しい先生でも気軽に読めます。
③今日から始める学級担任のためのアドラー心理学 勇気づけで共同体感覚を育てる
「大きな声で怒ったり、圧の強い指導は自分に合わない。何かいい指導法はないのだろうか」と悩んだときに読んだ1冊です。
「嫌われる勇気」で有名になったアドラー心理学は、教室の中でも使えます。
本のタイトルにある「共同体感覚」とは、自分と他者との関係や所属感を大切にすることです。
学級崩壊しているクラスは、共同体感覚が低いクラスと言い換えることもできます。
- 自分はこのクラスにいてもいい
- 自分はクラスメイトから必要とされている
という感覚を育てることが、学級の荒れから立ち直るきっかけになります。
④策略-ブラック学級づくり 子どもの心を奪う!クラス担任術
「学級崩壊と向き合うことがツライ…」「ほかの先生方は、どうやって学級崩壊をやり過ごしているの?」と、すこし疲れている先生にオススメの本です。
この本の「崩壊したら、戦わず、凌げ」という言葉に、わたしは救われました。
⑤学級崩壊 荒れる子どもは何を求めているのか
元・学級崩壊クラス担任から、いま学級崩壊で苦しむ先生方へのメッセージ
いかがでしたか?今回は
- 学級崩壊の定義
- 学級崩壊したクラスの様子
- 学級崩壊を立て直すためにしたこと
- 学級崩壊を立て直すために読んだ本
について紹介しました。
私は崩壊した学級の担任をしているとき、毎日こんなことを考えていました。
- どうして私が担任をやっているのだろう。
- 私よりも、適任の先生がいたのではないか。
- 「女は担任に向いていない」と私にいわれても、学校事情で私がやるしかないんだから、仕方ない。
- そんなにアドバイスしてくるなら、あなたが担任をやればいいのに。
- 「神様は乗り越えられる試練しか与えない」と言うけれど、今回ばかりは乗り越えられそうにない。
こんなことを考えながら、朝早くから夜遅くまで働いていたなんて、自分がかわいそうです。
そしていま振り返ると、あの学級にいた子どもたちも、かわいそうだと思います。
明らかに間違ったことをしている生徒もいたけれど、子どもは、生まれてきた時から間違った知識を持っているわけではないのです。
子どもは、社会や、地域や、大人たち、さまざまな環境から影響を受けて学び、成長していきます。
どうして、教室で大声を出したり、立ち歩いたり、人を傷つけたり…あんな風に振る舞うことしかできなかったんだろう。
わたしは今、教員ではないので、多くの子どもの成長の手助けはできません。
今のわたしにできることは、自分の子どもをきちんと成長させることです。そして、このブログを通して自分の経験を、現役の先生に伝えることだけです。
落ち着きのない学級の担任になったらやるべき10の事
— みなじょぼ🌸SNSから教育を支える (@mina_jovo) January 17, 2019
1.学級のルールを示す
2.教室は綺麗に
3.机の並びを整える
4.掲示物はシンプルに
5.話は最後まで聞かせる
6.質問がある時は挙手させる
7.真面目にやってる子を大事にする
8.ポジティブな声掛け
9.世間話ができる関係を作る
10.QUで学級の状態を把握
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